
羽化不全
ブリードをされた方は経験されている事もあると思います。羽化不全(蛹化不全)はクワガタの種類によったり、大柄な成虫になればなるほど不全の確率が高まっています。特にアンタエウスは羽化不全が多いと聞いています。月日をかけて育てたクワガタが羽化不全。羽パカならまだしもケロイド状態でドロドロ、大顎は起こしきれずに折れ曲がってしまってると言うケースも。しかし、羽化不全は蛹化不全や脱皮失敗と違う点があります。それは羽化不全でも生きていることです。完全体と比較すると寿命は短いですが、シッカリと生きているんです。羽化不全を生み出したものブリーダーの責任です。寿命を全うするまで暖かく育てましょう。しかし、少なくとも前もって対策を講じていれば羽化不全から救えた個体もあったと思います。
羽化不全の起因
菌糸ビン飼育で圧倒的に多いのが菌床の劣化により、蛹室内の湿度が過剰となって問題を引き起こす場合があげられます。また、ビンの底が蛹室底面となってしまうことによって蛹の変形する場合があげられます。さらには蛹室内部の壁が壊れてしまったり、振動を与えすぎてしまったり、急激な温度変化を与えたなどがあがります。温度変化を与えたり振動を与えたりと言うのは論外です。蛹室内の湿度の問題は「露天掘り」で解決しますが、ビン底の蛹室形成は蛹時の寝返りがうてなかったり、蛹が一部平らになったり、羽化時にうつ伏せになれなかったりします。ビン底に蛹室を作らないようにする工夫は、3齢後期になったら菌糸ビンを黒い紙で覆います。 その際、ビン底の部分は見えるようにしておきます。つまり、ビン底だけに光が届くようにします。こうする事によって明るい場所に蛹室を作らない習性を利用しますが完全ではありません。また、蛹室の壁面が崩れて蛹化や羽化がうまく出来ないことも考えられます。羽化が始まると、仰向けからうつ伏せに変えます。この時、うつ伏せになれないと羽根を伸ばすことが出来なくなり羽化不全となります。また、体の反転や大顎を持ち上げる動作の時、体の一部が引っかかったりしてスムーズに行かない場合もあります。湿度過多の場合は、羽化のための脱皮がスムーズに行かない事もあります。
対処法
では、大きな菌糸ビンに入れて蛹室がビンに接しないようにすればいいのでは?と考えてしまいます。しかし、大きなビンに入れた幼虫は横幅一杯に蛹室を作る場合があり、必要以上の大きさの蛹室を作ることがあるようです。蛹室の壁は、体液混じりの糞を少しずつ塗って固めていきます。糞を放出するということは、体内の養分を消費することになるので、幼虫は縮んで行きます。大きすぎる蛹室を作らせないため、前蛹寸前のビンの直径がポイントとなります。しかし、ビンが小さいと蛹室がビンと接触してしまう。この矛盾を解決するには、やはり小さめのビンで人工蛹室に移すしかないかもしれません。
どの時期なら取り出しが一番安全なのでしょう?蛹化して形が確立されてからでは遅すぎます。蛹室を形成して仰向けになって動けなくなった前蛹時ときに暴くか、蛹化して5日後くらいがベターでしょう。蛹化直後は蛹の中が液体になっていてグニョグニョですので動かさないようにしましょう。蛹を取り出す場合は、少しずつ蛹室の周りのマットを全て取り除いて蛹室を暴くようにします。蛹室の壁は固いので、どこからが蛹室なのか感触で解ると思います。ビンを斜めにして蛹を蛹室先端に移動させます。蛹を移動させた蛹室位置の反対側先端に穴を開けます。蛹室を割る際は、蛹を傷付けない様に細心の注意を払い、穴が空いたら少しずつ蛹室の壁を取り除くようにしましょう。ビン底の場合は特に注意が必要になります。ビンをゆっくり斜めにして蛹を取り出します。取り出しはダメージや傷をつけないように慎重にします。元の蛹室に戻す場合は、蛹室や蛹に付いたマット屑や脱皮後の皮を取り除きましょう。
人工蛹室
オアシス人工蛹室は人が作った蛹室であり、微妙なサイズや形状は蛹にとってジャストフィットではありませんし、人口蛹室だから羽化不全がなくなるわけでもありません。オアシスを利用した人口蛹室の作り方は簡単です。蛹の大きさに合わせて、スプーンでオアシス中央部を楕円形の蛹室の形にくり抜きます。蛹室は蛹の頭部が若干高くなるよう斜めに作ると良く、大きさや形は実際の蛹室を参考に調整していきます。蛹室の長さは少し長めにしましょう。頭部を若干高めにするのは蛹が寝返りや回転しやすいようにです。おおまかな形ができたら、壁面をスプーンで軽く撫でるように削って調整する。最後は指で押したり、撫でながら壁を滑らかに整えていきます。壁面に凹凸があると蛹が変形して、羽化不全になるので極力滑らかな壁面を作るようにします。出来上がった人工蛹室は水に浸け込み加水をします。加水後、水が滴り落ちなくなるまで水抜きをします。コバエシャッターのような保水性のあるケースに入れ、蛹を静かに入れて完成です。羽化まで再加水の必要はないはずですが、乾燥しているようでしてたら、霧吹きでオアシス部分に加水をしてください。蛹が羽化する時に7〜9cc位の体液を出すので、蛹室の吸水性が悪いと羽化した成虫の上羽が蛹室にくっついてしまいます。蛹が人工蛹室から出てしまったり、逆立ちになったりすることもあります。事故防止のために壁面の高さや蓋があるとベターです。作るのが面倒くさい人はネットで購入しましょう。
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